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「何だぁ、その顔?ひょっとして、今の話、聞いてたか?ネット見てたら、あのアメ公、二人も殺してるんだってな。怖ぇ、怖ぇ、とんでもねぇサイコ野郎じゃねぇか!なあ!」
そう言うと、他の二人も同時に笑い出した。
陶也は黙って彼らに近付いた。
(こいつらに、イザヤの何が解る!!)
自販機の前で座り込んでいた神田の足を陶也は思いっきり蹴った。許せなかった。こいつらがイザヤを笑う資格などない!
蹴られた神田は怒って立ち上がると、陶也の胸ぐらに掴みかかってきた。その腕を陶也はガッチリと掴んだ。
瞬時に神田の記憶が陶也にダウンロードされる。
「てめえ、いい度胸じゃねぇか?俺とやり合う気か?」
陶也も負けじと怒鳴った。
「お前達がイザヤを笑うな!!お前らだって犯罪者の癖に!!!」
神田は陶也の言葉の意味が解らなかったらしく、「あ?」と一言だけ洩らした。
白々しい男だ。誰にもバレていないと思っている。
「半年前、お前達は深谷町の倒産した工場跡地で、女子中学生をレイプしたよね」
神田を含めた全員が体をビクリと強張らせ、互いに目を合わせる。
「その一週間後に、その子は自殺した。遺書には親や友人達に宛てた感謝と謝罪の言葉しかなく、彼女を自殺にまで追い込んだ理由が未だ判らないままだ。今、僕がその事を通報したら、どうなる?」
奴らは全員、顔を蒼白にしたが、神田が頬をひきつらせて無理やり笑いの形を作った。
「出鱈目言ってんじゃねぇよ!そんな証拠どこにあるんだ!んっな馬鹿な事を言ってるとぶっ飛ばすぞ!」
陶也は怯むことなく神田の記憶に集中した。
「それだけじゃないよね。君はよく母親の寝室に忍び込んでは、母親の飲んでいる睡眠薬をこっそり盗んで、ナンパした女子高生にカラオケボックスで気付かれぬよう飲まし、眠った所、服を脱がせ、猥褻な事をしながら写真を撮ってる」
陶也は神田に軽蔑した視線を投げ「最低だね」と吐き捨てた。
神田の顎がわなわなと震える。
そして、陶也は信じられないものを見たかのように、目を見開いた。
「しかも!本当に下衆だね!君は、実の妹にまで?!」
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