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 兄弟揃って汚れた身なりで歩いていたら、汚ねぇ奴等が来た!と言って、他の子供たちに石を投げられてる幼いイザヤの達の姿が見えた。  万引き、窃盗の常習で、煙たがられ、捕まれば大人に殴られ、水をかけられてるイザヤの姿を見た。  刑務所の中では、若いからと言ってバカにされ、数人に囲まれリンチを受けてる姿を見た。  イザヤに触れてから、次から次に送られてくる辛い記憶に陶也は耐えた。  これをずっとイザヤは耐えてきたのだ。  それでも、どうしても耐えきれず体が小刻みに震えてくる。愛する人が痛い目にあっているのを見るのは、やはり辛かった。今にも涙が溢れそうだった。 「陶也、もういい!わかったから放せ!」  イザヤが立ち上がって身を離そうとした。  眉間に皺を寄せ、苦しそうに唇を噛むイザヤの表情を見た瞬間、陶也の脳裏に、幼い頃の母の姿が浮かんだ。  陶也は愕然とした。あの頃と自分は何一つ変わってはいなかった。母と同じく、何故、自分は愛する人を、いつもこんな顔にさせてしまうのだろう……。  自分を呪いたい気持ちで溢れ、呼吸をするのも苦しくなった。  ──でも……諦めちゃ駄目だ!諦めたくない!!今度こそ、変わりたい!! 「駄目!」と叫んで陶也は離れようとするイザヤの手を引いて自分も立ち上がった。  ──もう二度とイザヤにそんな顔をさせたくない!  そう思うと、自然とまたイザヤの唇に唇を重ねていた。  そして、重ねた瞬間、陶也に流れ込んでくる記憶の流れがピタリと止まった。  やはり、初めてキスした時と同じだった。  同じ触れるにしても、こうしていると逆に記憶のフォルダが弾かれる。今はイザヤの唇に触れている感覚しか、陶也には感じられなかった。陶也は歓喜に震え、安堵した。  自分からイザヤの首に腕を回し、唇をさらに押し付けた。イザヤの薄めの唇の柔らかさに、愛しさが全身に募っていく。彼に触れられる喜びが、体の芯で艶やかに花開いた。そして、陶也は惜しむようにゆっくりと唇を離してイザヤに伝えた。 「イザヤさんに触れても平気な方法を見付けました。同じ触れるでも、こうしていると大丈夫です」  そう囁いてまた静かに口付けをする。  わなわなと震えるイザヤの唇が愛し過ぎて堪らない。  ちゅ、ちゅ、と何度か濡れた音を立ててキスをすると、いきなりガバッと抱き締められた。

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