御先祖様のせいです。

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 言いながら、遊園地のパンフレットを丸めて斗鬼の膝を叩く桃太。 「止めろ、鬱陶しい」  溜め息混じりの冷たい声に、桃太は涙目に。 「先輩、もっと楽しそうにして下さいよ……」 「黍、俺はな」  思わず呼ぶ名が主従以前の、馴染みある方になってしまったが。 「あ、桃太って呼んで下さい」  涙目ながら訂正が入った事に、斗鬼は口角を引きつらせた。しかし、気を取り直す。 「俺は、家族を養う為には大体の事はやる。お前に雇われたのも、そのひとつに過ぎない。職務以上の要求は困るんだ」  斗鬼にとっては、一度言葉にせねばと思っていた事だ。しかし、面と向かってこうもはっきり突き付けられると桃太も落ち込み俯く。 「分かってます……先輩は僕の事嫌いだし……」 「嫌いと迄言ってないだろう」  期待の眼差しで顔を上げる。 「えっ、好きですかっ」 「普通だ。後輩の一人だ」  そういう所だと、斗鬼は眉間へ皺を寄せている。又も沈む桃太。観覧車もいつの間にかてっぺんを越えているし、後は降りてこの二人きりの空間もこれきりだろう。 「てっぺんで、先輩に告白して色々進展あればと思っていたのに」  溜め息と共にそう本音を漏らす桃太。 「お前が俺に毎日やってるあれは、告白ってやつにならんのか」  呆れた斗鬼の突っ込み。 「今日はもう良いです、又次考えますっ」  突然顔を上げた桃太はもう笑顔になっていた。あまりの切り替えの早さに驚く斗鬼。 「何なんだ、お前は……」  前向きなのは良いことだろうが、この思考が長年の片思いを拗らせた原因だろうかと斗鬼は感じた程。そんな空気の中、観覧車の戸が開かれ、笑顔で係員が外へと促す姿が。斗鬼と桃太は、早々に観覧車を降りた。程無く、後ろにいた真鬼達も笑顔で降りてきた。優鬼と光鬼が、斗鬼へ笑顔で駆け寄る。
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