やまない雨

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俺の名前は雨笠玲音っていってね。名前がまた洒落ているだろ。雨とレイン。名字にも名前にもどっちも雨が入ってる。両親の出会いがこれまたイカしてるんだ。ゲリラ豪雨で慌てて雨宿りした店の軒先で出会って、会話をしている内に意気投合したんだって。連絡先交換しあってデートを繰り返したそうだけど、2人が会うときはいつも雨が降っていたみたいだよ。もちろん俺が生まれるきっかけになった夜も雨が降っていたし、俺が生まれたその日もどしゃぶりの雨だったみたいだ。それでつけた名前が玲音だっていうんだから、俺が究極の雨男になったとしてもそれは無理がないって話さ。  生まれた時から病弱な子供でね。幼少期の頃病院で過ごすことが多かった。子供の頃の記憶で一番覚えているのは、病院のベッドから見る天井のシミと、外に見える大きな木、そして抜けるような青い空。早く外に出たくて仕方なかった。でも玉に許可をもらって外に出たときは雨、ようやく退院した日は今年一番の勢力だという台風が吹き荒れていてがっかりしたことを今でも覚えているよ。
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