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彼女は数分後、席に戻ってすました顔で読書を再開した。
俺はイラストを見た感動を伝えたかった。でも静かな図書館の中で声をかけるのも躊躇われるから、感想を手紙にして書くことにした。
イラストが本の世界を完全に表現していたこと。それを見て深く感銘を受けたこと。ついでに自己紹介。彼女の存在を前から気になっていたことも軽く添えて。
本を読み終え元の棚に返しに行くついでを装い、彼女の自習机の上にそっと手紙を置いた。
本を選ぶフリをして席に戻ってきた時にはその手紙は彼女の机の上にはなかった。でも彼女はその後も普段と同じように本を読んで過ごしていたから、手紙を読んだのかどうかは分からない。
俺は彼女の気を引きたくて仕方なかった。彼女のイラストは自分の部屋の机の前の壁に飾った。そのイラストを見ている内にあるアイデアが浮かんだ。
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