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翌朝――姉は近所の公園で見つかった。
物言わぬ姿になって。
それを家に知らせに来たのは、紺の制服を着た警察官たち。
首を絞めて殺されたと言う。
確認してほしいと言われ、姉の遺体を見た父は憔悴しきっていた。
犯人に繋がるものが何も見つかっていないと言うのだ。
首を絞められた時にもがいた跡はあったが、爪から犯人の皮膚片は見つからなかった。
昨晩から今朝にかけて降っていた雨に、足跡も流されてしまっている。
目撃者もなく、見つからない犯人。
苛立つ警察関係者。そして、遺族。
彼女の死後、一ヶ月を経過しても事件に進展はなく、捜査本部は解散されてしまった。
事件の捜査は続くらしいが、新たな情報が入ってこない限りは動かないだろうことが予想できる。
進まない捜査。解決しない事件。
時間だけが悪戯に過ぎ、家族を失った傷は癒えることのないまま、家庭は崩壊した。
元々、不仲だった両親は、姉の死がきっかけになり離婚。
遺された妹は、父方の祖父母宅に引き取られた。
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