M大ミステリ研究会

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 切り揃えた前髪の下で勝ち気な瞳が揺れる。  姉を亡くした少女は両親の離婚後、祖父母の家に引き取られた。  名字も変わり、睦月(むつき)真夜(まや)として、新しい生活を送っている。  この4月から晴れて大学生となった真夜。  姉のこよみが通うはずだったM大学へと進学した。  AO入試で進学を決めたこよみと違い、真夜は一般入試で希望する看護学部へと進んだ。  入学式後、サークルの勧誘を幾つか受けた真夜はその中に見知った顔――姉の友人を見つけた。  ミステリ研究会――推理小説が好きだった姉が高校の時に入っていた部活は探偵部だった。  その時に一緒だった友人たちが、ミステリ研究会にいるらしい。 (姉さんに繋がる何かがわかるかもしれない……)  真夜はそう考え、ミステリ研究会に入部することにした。  こよみの影響もあり、元々推理小説が好きな真夜。  もし、何も収穫がなかったとしても、それはそれで良いという気持ちで入部届けを出す。  あえてこよみの妹であることを言わず、姉の友人たちに少しずつ探りをいれるつもりでミステリ研究会に入った。
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