M大ミステリ研究会

3/18
前へ
/64ページ
次へ
 4月の終わり。  世間一般的に、ゴールデンウィークと呼ばれる期間のはじめ。  ミステリ研究会の部員たちは合宿を行うことになった。  新入生歓迎会も兼ねた、合宿と言う名の旅行だ。  M大ミステリ研究会の会長、神楽(かぐら)御詞(みこと)。  彼の父親が所有する別荘へ真夜たちミステリ研究会のメンバーは招待された。  何でも、ミステリ好きにはぴったりの孤島にある別荘らしい。  待ち合わせ場所の空港に真夜が着いた時には、既に会長の御詞と副会長の神無月(かんなづき)千鳥(ちどり)の姿があった。  知的な雰囲気の二人は、似合いのカップルのようで近寄りがたい。  真夜が気後れしていると、千鳥が気付いて声をかけてきた。 「睦月さん、こっちこっち!」  名前を呼ばれ、手招きされては行くしかない。  慣れないスーツケースを引きずるようにしながら、真夜は二人と合流する。 「神楽先輩も神無月先輩も早いですね。私も早めに家を出たんですけど……」  新入生が遅れるわけにはいかないと、集合の1時間前に着くように家を出た真夜。  しかし、この二人は彼女よりも早く到着していた。 「今回のホストは私だからね。案内役が遅れるわけにはいかないさ」 「御詞は遅刻魔だから、一緒に早く出てきたのよ」  同じ学年、同じ学部。  そして同じサークルに所属する二人。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加