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4月の記録 2
あのときも、あの瞬間も、私は光の中にいたのだと、過ぎてから気づく。
痛くて、苦しくて、やるせなくて、切なくて、でもどうしようもなく、愛しくて。
あんなこともあったねと懐かしめる日まで、どうか元気で。夜が明けたら、また会いましょう。
あなたの声で呼ばれるわたしの名前がとても好き。
いつどこで誰と何をしていても、心のどこかにあなたがいる。
もしもあの時気持ちを伝えていたら、今数センチ先で揺れるその右手を、握ることができただろうか。
この寂しさは、あなたにしか埋められないこと、わかっているから。
あなたの一番星になりたい。
「葉桜の頃」
また来年、ここで会いましょう。そう言い残し、風に抗うことなく、静かに最後の花びらを散らしたあなた。毎年みんながあなたの美しさに魅了される。次の春にまた、会う約束をしてしまったから、それまでまた、私も生きてみるよ。
手を伸ばせば届いたはずの温もりはもういない。雨が上がる。あなたのいない明日が始まる。
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