二【春・出会ってしまった】

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 汗が頬から首筋を伝う。  なぜ高宮がそれを知っているんだと、頭の中ではそればかりが果てしなく回り、たまに突っかかってグルグルグルグル。  これ以上したら死んでしまうぞって思うくらい頭が沸騰していた。 「なんで知ってるの?って言う顔つき……分かりやすすぎて笑えますよ」  本当に薄笑いして高宮は顔を近づけていきた。  空いた片手で俺の前髪をたくし上げ、舐めるような視線で顔を覗きこまれる。 「っ……離れろっ……」  手を押さえつけられているため、顔を横にずらすくらいしか抵抗ができない。 「知りたくないないの?」 「知りたいに決まってんだろうが!!」  今すぐにぶっとばしてやりたい。  せめて手が空いてれば……  意地悪な質問にふくれっ面になっている悠斗を見て、高宮は笑いが込み上げてくる。 「くくっ……悠斗先輩よく可愛いって言われない?」 「はぁ?」  意味の分からない言葉に腹を立てると、不快そうに眉を下げる。  さっき、栗頭に言われた言葉だけあってさらに腹が立つ。  誰が可愛いなんて言葉を使われてうれしいなんて思うんだ。 「いや、教えてあげます。なんで俺が悠斗先輩の秘密知ってるのか…」  また高宮が口を開く。 「…実は、俺の家族の中にあの学校に詳しい人がいるんです。その人が教えてくれたんですよ。 『お前が通う学校に、ホモ学園のやつが一人転入しているから、十分に気をつけろ。あの学園のやつはみんな傲慢な性欲の塊なんだからな』 ってね」  なんだろう?   無駄に抑揚をつけた高宮の言葉のおかげですんなりと頭へその言葉が響いた。  とにかくすごく嫌なように聞こえてしまう。  人を文字で見定めて見下しているような。  元からムカつく奴だとは思っていたが、これは……  分かっていたことなのに、その言葉は悠斗の心に深くしみつく。  フフッ  高宮が何とも言えない笑みをこっちへ向けてきた。  まるで『お前もそうなんだろ?』って言われてる気分だった。  おまけに『襲われそうになったらそいつの股間蹴り上げて使い物にならなくしてやれ』……だとかなんとか。  笑いを含んだその言い方に、限界だと思った。 ――人を勝手に……
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