二【春・出会ってしまった】

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「いいかげんに……しろ!!」 「うぐっ」  自分の唇を高宮の耳元に寄せ、大声でそう叫ぶと、唸って数センチ飛び退く。 「やっぱお前、女は慣れてても男は初めてなんだな。ギコチナサすぎなんだよ。へたくそ。そんなんで俺が満足するわけないだろ? 馬鹿かテメー? 早くその緊張してガクガクした手と足を退けろ。こんな下手くそな愛撫、いくらやられても感じぁしねぇよ。あ~ぁ演技するの疲れた~」  “いい加減気付けっつーの”最後にそう付け足すと、悠斗は静かにうつむいた。  ウ・ソ・で・す・。  でもショーがないよ。ね?   そう思うよね?  だって、ゆーと嫌なんだもんッ  すいません自重します。←  まぁこれで高宮もプライドずたずたにされたわけだし、このまま続けるってことは無いよな。  俺ならあんなこと言われたら一週間は寝こんじゃ――…… ドサッ 「へぇ~? そうですか? いい度胸ですね。へぇ~感じてなかった……ねぇ? 冗談もほどほどにしないと、大変なことになりますよ? ゆーと先輩」  え?  なに?  俺もしかして変なスイッチ入れちゃった? あとドサッて……ドサッてなに!? ……あるぇ~? いつの間に俺教室の天井見える状態になってるの? 「……たっ高宮?」 「なんですか? せんぱ~い?」 「高宮、目が怖いよ」 「はは」  ははって……  なによ……  これでもかってぐらい微笑んでいる高宮の顔。  それゆえに、獰猛に光る眼を引き立てられていた。いっそう険悪な空気。なのに高宮を取り巻く雰囲気は妙な色気を含んでいた。  元がイイせいか、高宮にはその雰囲気がよく似合う。  男でも魅了されてしまう。自分には持ち合わせていないもの。素直に見惚れていながら、妬みとも思える感覚が浮かび上がった。  年下にこんな感情を感じるなんて……  いままで年上にしか興味を示さなかった悠斗は、少なからず戸惑っていた。 「ああ、ほんと……先輩超ヨユーそうですね」 「へ?」 「ほら、今だって俺がこんなに挑発してるのに、逃げることも取り乱すこともない。まるで挑発のこと忘れてるみたいな気の抜けた返事はするし」 「え?」 「わかりました。先輩が満足できるように、俺がんばりますね。体中ドロドロになるまで愛撫して、先輩が溶けちゃうくらい気持ちよくしてあげます」 「ん? えーと? なにいっt……んぉ…ふン……」  何いってるんだ……  言い終わる前に、言葉は高宮の口に吸いこまれた。
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