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「いいかげんに……しろ!!」
「うぐっ」
自分の唇を高宮の耳元に寄せ、大声でそう叫ぶと、唸って数センチ飛び退く。
「やっぱお前、女は慣れてても男は初めてなんだな。ギコチナサすぎなんだよ。へたくそ。そんなんで俺が満足するわけないだろ? 馬鹿かテメー? 早くその緊張してガクガクした手と足を退けろ。こんな下手くそな愛撫、いくらやられても感じぁしねぇよ。あ~ぁ演技するの疲れた~」
“いい加減気付けっつーの”最後にそう付け足すと、悠斗は静かにうつむいた。
ウ・ソ・で・す・。
でもショーがないよ。ね?
そう思うよね?
だって、ゆーと嫌なんだもんッ
すいません自重します。←
まぁこれで高宮もプライドずたずたにされたわけだし、このまま続けるってことは無いよな。
俺ならあんなこと言われたら一週間は寝こんじゃ――……
ドサッ
「へぇ~? そうですか? いい度胸ですね。へぇ~感じてなかった……ねぇ? 冗談もほどほどにしないと、大変なことになりますよ? ゆーと先輩」
え?
なに?
俺もしかして変なスイッチ入れちゃった?
あとドサッて……ドサッてなに!?
……あるぇ~?
いつの間に俺教室の天井見える状態になってるの?
「……たっ高宮?」
「なんですか? せんぱ~い?」
「高宮、目が怖いよ」
「はは」
ははって……
なによ……
これでもかってぐらい微笑んでいる高宮の顔。
それゆえに、獰猛に光る眼を引き立てられていた。いっそう険悪な空気。なのに高宮を取り巻く雰囲気は妙な色気を含んでいた。
元がイイせいか、高宮にはその雰囲気がよく似合う。
男でも魅了されてしまう。自分には持ち合わせていないもの。素直に見惚れていながら、妬みとも思える感覚が浮かび上がった。
年下にこんな感情を感じるなんて……
いままで年上にしか興味を示さなかった悠斗は、少なからず戸惑っていた。
「ああ、ほんと……先輩超ヨユーそうですね」
「へ?」
「ほら、今だって俺がこんなに挑発してるのに、逃げることも取り乱すこともない。まるで挑発のこと忘れてるみたいな気の抜けた返事はするし」
「え?」
「わかりました。先輩が満足できるように、俺がんばりますね。体中ドロドロになるまで愛撫して、先輩が溶けちゃうくらい気持ちよくしてあげます」
「ん? えーと? なにいっt……んぉ…ふン……」
何いってるんだ……
言い終わる前に、言葉は高宮の口に吸いこまれた。
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