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それはある日のことだった。
「ああ~!! ついてねぇ――! なんでこんな面倒くさいことをしなくちゃいけないんだよォォォォォオ!」
二年3組の学級委員長兼学年委員長の悠斗が、代表として新しい一年の学級委員長に会いに行った時のこと。
この学校は1学年9組でわかれて教わっている。
普通は副委員長もいるものだが、なぜだか、呼ばれたのは9人の委員長だけだった。まぁ副委員長もいたなら俺はここに一人で居るわけないか。
ガックリと肩を落とすと悠斗は9人の待つ1年1組の教室へと重い足をすすめる。
ガラッ
いつもなら軽いドアも、このときは重く感じた。
しかし、そんなやる気のないところを新一年生の、しかも学級委員ちょうたちに見られてしまっては二年生全体のイメージを落としてしまう。
実際、自分の印象なんてどうでもよかったが、二学年委員会委員長の名前を背負っていることの責任は、悠斗にとって重要だった。
まぁ、悠斗がびびりだということには変わりないけど……
ドアを開けきると、悠斗の視界に9人の委員長がうつる。
とてもまじめそうな奴もいれば、明るくていかにもクラスの中心人物みたいなやつ、不良みたいなやつまでいてすこしドキリとした。
でも……そのなかでも一際異彩なオーラをはなつ男が、窓際からじっとこちらを見ていた。
高宮京悟……
1年だけにとどまらない高宮京悟の噂は、もはや知らない人の方が少ないくらい全校へ知れ渡っていた。
当の本人はそんなことを気にする雰囲気もなく、逆に疎ましく思っているということもないらしい。
そのため、高宮の周りはいつもクラスのやつでもなんでも女がへばりついている。
たまにチャラチャラした不良みたいのも一緒にいるが、とにかく俺はあまり興味がいし、高宮京悟にあまりいい印象がないというのを言いたいだけだ。
しかし、9人しかいないのによくもまぁこれだけいろいろいるもんだ。十人十色ってか?
「うぁああ! 2年の藤森先輩じゃないっすか! えっ!? なんで今日ここにいるんすか!?」
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