二【春・出会ってしまった】

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 ただ、目が合うと異様に笑顔を振りまくさっきの栗頭の男と……  なぜか、話したこともないのに、人を舐めるように見つめる高宮圭吾の二つのことが、うっとおしくてしょうがなかったが。 「はいっじゃあ、これで一応一年間の仕事とか、行事とか学校のことをあらかた説明したから、クラスでなにか話し合うときはちゃんとお前たちが説明できるように。あと……まだなんか質問とかあるやつは残って。それ以外は解散。もう一年生も部活とかあるみたいだし、何もないやつも放課後だから早めに出てけよ」  予定よりも充分早い。  続々と教室から委員長たちが姿を消す。  あんなに嫌な感じに人のことを見ていた高宮京悟もなんにもなかったように俺の前を通り過ぎた。  のに 「んで、お前は残ってるんだよ!」  同じくうっとおしかった栗頭のやつだけは教室の中の椅子にまだちょこんと座っていた。 無駄に笑顔振りまくな! 可愛くなんてねぇんだよ! 「なんでって分からないところがあるやつは残れってさっき先輩が言ったんじゃないですか」  無駄すぎて逆にこっちがはきそうになるくらいの笑顔が、こっちをじっと見つめている。 「わかんないとこなんてないだろ!」  みんな出てったのに 「えぇー決めつけないでくださいよぉ。まぁあんな先輩の分かりやすい説明聞いてわからないところがあるならその人は本当にばかですよね」 「分かった。とりあえずないんだな? 帰れ! 今すぐ帰れ!」  ビシッと半ギレ気味の悠斗の指先が教室のドアを指す。  けど、そいつは俺のことを綺麗にスルーしてなお、ニコニコとした顔をこっちへ向けいた。 「先輩、もっと噂のことを自覚した方がよさそうですよ。変な虫がたくさんたかってきますから」  表情とは裏腹に、栗頭のやつは、しっかりと心を持った声で囁いた。  ドキリと心臓が一際高く躍動した。  それにどんな意味があるのか、俺はまだ理解してはい。  だから、束の間俺の頭の中はそんな軽いことをと馬鹿にしたような部分が大半を占めていた。  そんなことがずっと続くわけもないのに。  ただ、今こいつから離れたい。  本能的にそう思った。
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