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帰り道にて
一人と一台は、とぼとぼとU.C.R.社のビルを後にした。風が強かった。
家の帰り道で、橋に差し掛かった。メイは欄干に手を添えて、眼下に広がる開渠を見下ろす。その後ろを無言でついてくるロボットの気配だけがあった。
夕日がだんだんと沈んでいって、自動操縦車専用道路には自動操縦車が音もなく行き交っている。
ほとんど胴以外、全ての素肌を露出させているメイは、なんだか寒気を感じて腕を抱いた。
背中から暖かい重みが乗っかった。
「冷えるよ」
ロボット・スコットが、自身の外套をメイにかけたからだった。
そして、振り返ったメイの頬の涙を親指でぬぐった。
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