会社にて

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 女──メイはいきりたった。まばたきをしない男がメイを見上げる。メイは男を指す。 「こいつ、あたしのパパとまったくぜんぜん違うじゃんか! 金返せよ!」 「ご不便をおかけして、大変申し訳ありません。とにかく順序立ててお話を聞きましょう。あなたの横に座っているのが、(くだん)のロボットですね」  問診票にもしっかりとUCR・ベントリィ・スコットとロボットのID記載がある。  うん、照会に問題はなし。レイモンドはチェック項目のトップにタップをして、レ点をつけた。 「このロボットはあなたのお父上、ミスタ・ベントリィ・スコットの思考をトレースした人型(ヒューマノイド)AIロボットということで間違いございませんでしょうか」 「それ以外に何があるってんだよ」メイの怒りは収まらない。 「いえいえ、マニュアルに沿った単なる確認事項です。お待たせしました、では具体的な不具合をお聞きいたします」
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