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「このロボット、おかしいよ。いいさ、いいよ。髪の毛が増えたことに文句ないけどさ、外見より中身だよ」
「ええ」
「酒を一滴も飲まなくなった」
「それは、ロボットですから。飲食等はどうしても再現できないのです。我々の技術不足でして」
「毎日皿を洗うんだよ。毎日定時に床を拭いて、トイレ掃除をして、あたしの服を洗濯する」
「大変失礼なことをお伺いしますが──いえ、私の理解不足を補うためにお伺いするのですが──それの何がいけないのでしょう?」
「パパは死ぬ前そんなことやらなかったって言ってんの」
「彼はロボットですから、あなたが床を拭くなと命令すればやめるでしょうし、皿を洗うなと言えば洗いません。そういう指示に逆らったことはありますでしょうか?」
メイはレイモンドを無視した。
「怒鳴らないし、蹴らないし、乱暴しない」
「それは素晴らしいことです」
「バカにしてんの? あたしが夜中に遊びに行ったら、こいつが勝手に外へ出て、勝手に脳をネットに繋いで、あたしのいる場所を割り出して、勝手に連れ戻しにきたんだよ。あたし恥ずかしかったんだよ、あんなに男たちがいる前で! パパの、いや、パパの姿のロボットが迎えに来たなんて恥ずかしくて、あたし帰りたくなくて……!」
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