会社にて

5/5
前へ
/6ページ
次へ
「お話を聞く限りですと、ロボット・スコットは完璧に動作しておりますよ。倫理制約を破るようなことは何一つ行なっておりません。ロボットは、人の命を守るためなら時に命令を無視することもあります。失礼ながら、あなたのようなお若い女性が夜中に出歩くのを看過することはロボットの倫理が許さなかったのでしょうし、皿を洗うなど身の回りの世話をするのは、ロボットの思考回路として自然の成り行きですね。それらをしないとあなたが生活する上で害になると、ロボットが判断したのでしょう」 「あたしの家が汚いって言いたいのかよ!」 「言葉の綾です。とにかく、ロボット・スコットを弊社の出荷テストにもう一度かけてみることはできます。サポートの範囲内ですので、無償です。ただ、満足の得られる結果にはならないだろうと想像します。もし致命的なバグが見つかりましたら、それこそ電子回路を総とっかえということになりますが」  レイモンドは、ゆっくり、ハキハキと、一言一句をメイへ淡々と告げた。  メイは椅子に落ちるように座った。 「ミス・スコット、ロボットをテストさせますか?」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加