1.悪夢

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1.悪夢

先の見えない廊下に数多の人が倒れていた。 照明は薄ぼんやりとなのだが、自分の目にははっきりと見えた。 赤い水溜まりの中にいる人々が。 それはもう動かない証拠なのだが、どうしてそうなったのか分からない。 ついでに来るむせかえるようなひどい臭いにかなりの吐き気を覚える。 ここからどこかに行かないと。 出口のようなところは無いかと辺りを見回してる時、今さらかのように手に何かを持ってることに気づく。 持つ手には細長い棒状のような物で、その先には鋭利な大きな刃だが、その刃には、倒れている人々に染まっているのと同じ、赤黒い血が付着していた。 ということは。 「…………ぼくが、やったこと、なの…………?」 ひどく掠れた声で発しにくかったのだが、今はそんなことはどうでもいい。 その鋭利なモノの持つ手が小刻みに震え始める。 怖い怖いどうしてどうして。 全く身に覚えがない。覚えがないはず、なのに。 急に息が苦しくなってくる。どうやって息のするのか分からなくなってきて、涙が溢れてくる。 その場にうずくまるのと同時に鋭利なモノを手から離す。ガランと、大きな音を立てた。 首もとを押さえながら何とか呼吸を整えようとするが、悪化していく一方。 たすけてたすけて。───。 ぎゅっと目をつむって、視界が暗闇になると、妙に違和感を覚えた。
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