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「傀儡はその四肢が動く限り貴方を殺そうとします。身体をバラバラにしたところで、殺しきれません。紅玉の破壊――つまり、先ほどの様に頭部を狙う事を推奨します」
そして、と、
「傀儡の撃破により宿っていた『神の力』は器である貴方に注がれました。今後、『力』を宿している器を破壊し解き放たれた『神の力』を取り込む事で貴方の『力』が強化されていきます」
「……っても、そんなレベルアップ感無いんですが?」
「傀儡の『神の力』は微量なものです。一体程度ではその実感は得られ程ではありません」
「レベル帯に合わないレベリングは効率悪いっすよねー」
俺の中で『神の力』というワードがトレンドになりつつある。
中学生の頃にノートに書き留めた落書き《僕の考えた最強のシリーズ》を今になり見つけてしまった時の様だ。
むず痒いが、言いたい事は分かってしまう。
ゲーム慣れした感覚で言う所の『神の力』とはEXPやスキルポイントの類らしい。
今のままでも十分高スペックだが、更に底上げ出来ると来た。
「――すげぇーな、主人公コースだ」
自嘲染みた、はっ、と小さい笑いが漏れる。
『神の力』だ『使命』だと胡散臭さを感じつつも、昂ぶりを感じ始めた。
「いいね。――それらしくなって来た」
待ち望んでいたゲームを買った帰り道はこんな気分だったのは覚えている。
元の世界に帰るまで、今はもう少し、主人公気分を楽しもう。
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