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「この部屋も掃除しますか?」 「あ、いいよ。その部屋は僕がやるから」 「わかりました。ではリビングや他のお部屋を」 「よろしく」 「最近 キレイになった?」 「え?!い、いや、いや、またご冗談を」 「いやいや、本当に。またキレイになったと思うよ」 「本当ですか?お世辞言われても、何もお出し出来ませんが」 「別にいいよ。見たまま、正直に言っただけだから」 「あ、ありがとうございます」 「いえいえ」 「今晩のディナーにご希望はございますか?」 「特にない。君の好きな料理か得意料理でいいよ」 「では、ビーフストロガノフを」 「よろしくね。君のやつは美味いから」 「ありがとうございます」 「お世辞じゃないから」 「はい。普通に嬉しいです」 本当、普通に嬉しい。 そして、普通に幸せ。 この人と こうして接していることが 普通に幸せ。 それ以上のことを 私は望んでいない これで全て 満たされているから ビーフストロガノフを作った 私の得意料理 それを本当に美味しそうに食べてくれる あの人 その笑顔で 全て 満たされる そして また キレイになった と言ってくれた。 心の底から嬉しい。 少しでもキレイになりたかったから あの人のために 私のために どっちが優先でもない 私のためであり あの人のために 私はキレイでいたい、 ずっと いつまでも。
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