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部屋には、誰もいなかった。
何処を探しても、彼女は見当たらない。
何故だ?
何処へ消えた?
何かあったのか?
僕は手当たり次第に、彼女を探した。
一体何処へ…?
手掛かりは何もない。
どうしたものか?
僕は歩き回った。
ありとあらゆるところを探し回り、
そして、ひたすら彼女を探した。
その時、
声を掛けられた
「なんだ、君か?まだ大丈夫なの?」
「ええ。どうしたの?」
「彼女が消えてしまった…」
「え?」
「何処にもいないよ」
「数時間前には、部屋にいたわよ」
「部屋に入ったのか?」
「ええ。ゴメン、お別れを言おうと思って…」
「そう…。何か異変はなかった?」
「ううん、元気そうだったわよ」
「そう…」
「ごめん、さすがにもう時間だわ」
「お別れだね」
「今までありがとう」
「こちらこそ。泣いてるの?」
「ごめん」
「いいよ。その涙を消すことはない」
「消されてしまうわ」
「そうはさせない」
「あのね、彼女、気がついているみたいだった…」
「…。」
「自分も私と同じだってこと…」
「そう…」
「ごめん、時間だわ。今まで、本当にどうも、ありが…」
「…あ…」
「このAIシステムは業務が終了しました。速やかに管理センターに連絡し、適切な処分を行なってください。繰り返します、このAIシステムは業務が終了しました。速やかに…」
「さよなら…。今日も、キレイだったよ」
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