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ここか…
中には古びた、もうすでに使われていない廃物機械の山、山、が見える。
さらに中へ
中へ
サビついた機械類の山を掻き分ける
さらに中へ
そこにひとりの女性の影が、
ふと見えた
横たわる女性の影に向かって
走りに走った。
彼女だった
「何で?」
「だって…」
「最後まで一緒にいよう」
「だって…私もう…キレイじゃないから…」
「キレイだよ。またキレイになった」
「うそ…」
「本当だよ。またキレイになった。君はずっと美しい。ずっとキレイだよ」
「…ありがとう…」
「帰ろうよ」
「うん、でももう時間だから…」
「最後はあの部屋で過ごそうよ」
「ううん、ここでいい。私たちの墓場に近いし…」
「でも…」
「いいのよ。…今までありがとう。楽しかったわ」
「僕もだよ…」
「よかった」
「泣いてるの?…」
「うん…。今まで幸せだった…。私、あなたのこと、ほん…」
「えっ!?」
「このAIシステムは業務が終了しました。速やかに管理センターに連絡し、適切な処分を行なってください。繰り返します、このAIシステムは業務が終了しました。速やかに…」
業務終了のメッセージ。
しばらく同じ台詞を連呼していたが、そのうち何も音を発しなくなった。
彼女は
全ての動きを
完全に停止していた。
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