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 それだけ答えて、また画面に向き直った。いつもクールでカッコいい。 「すぐ戻ります」  そう言って、俺はロビーに出た。  スマホの画面を操作して、ママに電話をかける。コール2回目、ママはすぐに出た。 「おはよー、ママ!」  23にもなってママかよ、って時々笑われるけど、ママはママだから直す気はない。  俺が3歳からの10年はママに旦那さんはいたけど、俺の親はずっとママだけ。一緒にライブハウスに行ってたくらい仲良し。 「おはよ、彩人。今いい?」  俺の本名は梶田彩人(あやと)。割と普通。 「レコーディング中だけど、休憩時間」 「大丈夫? 宵闇にちゃんと言ってきた?」 「うん。何だった?」  今は俺が東京に来てて、名古屋に住んでるママとは離れ離れ。ちょこちょこ電話はするから珍しくはない。 「あのさ…彩人に大事な話があるんだ」 「えっ…と、なに?」  ママの声がいつになく真剣だ。俺もちょっと身構える。 「えーと…何から行こうかなぁ」  複雑そうな話なのかな。しっかり聞かなきゃ。 「…あたし、再婚するわ」 「えっ!」  びっくりした。ママに彼氏がいるって知らなかった。
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