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レコーディングの合間、はちみつミントティーを啜って喉を休めてると、何となしに持ってたスマホがぶるっと震えた。
画面を見ると、新着メッセージの通知。
「あ、ママだ」
俺が呟くと、隣でデリバリーのお寿司を摘んでたドラムの夕さんが俺をちらっと見る。
「おっ、綺悧ママか。元気か?」
綺悧って言うのは俺のステージネーム。
夕さんは、俺のママが好みのタイプなんだって。
若い時から、ヴィジュアル系バンドを追いかけるバンギャ道を貫くママは、いつもイキイキしててキラキラしてるから、俺の自慢。
そんなママの一人息子の俺は、ヴィジュアル系バンド・ベルノワールのヴォーカリストになっちゃった。
「うん、元気だよー。何だろ」
画面を開いてみる。「おはよ、今電話出来る?」って。バンギャなママの挨拶は、何時であろうとおはようだ。
休憩入ったばっかりだし、電話出来るかな。
さっき録ったテイクをチェックしてる俺の神様、リーダーの宵闇さんに声をかける。
「宵闇さん、ママから連絡なんですけど電話して来ていいですか?」
宵闇さんは、俺の方を振り返る。
「ああ。構わない」
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