放課後の花壇で魔法を

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     ※  そんな出来事から笹部とは親しく話をするようになった。  なにかの拍子に一緒に勉強もするようになって、それからは誠司の成績も上がった。  気づいたら学科は異なれど同じ大学に行って、同じ就職先で。  ──腐れ縁ってあるもんやな。  しみじみとそう思う。  同期入社した会社は全国規模の大企業だ。新入社員で配属された先は異なったけれど、今年度笹部は誠司のいる場所に異動してきた。  社内で挨拶はしたけれど、今年は世界的規模の感染症のために飲み会など一切出来なかった。  ウェブを使ってのやりとりは別場所だった時から頻繁にしている。けれどせっかく近くに来たのに直接会って、二人で話をできないのはつまらなく感じていた。  大学院を卒業後、入社して五年。  同期は結婚した奴らも多い。  誠司も笹部も付き合ってきた彼女はいる。けれどお互い長続きせず、いまだ気楽な独身だ。  今日はやっと飲み会も解禁になる日だった。  感染症予防のための会社の規則を守るなんて馬鹿正直だな、と思う。でも相手を思いやることをないがしろにしたくなかったのだ。  ──ま、俺達、こういうとこは団結するよな。  さて、午後五時の定時を迎える。  今日定時で帰ることができるよう、昨日は残業をしたのだ。さっさとパソコンをログオフし、行き先の札を返して。  早足で階段を下り、(たて)()の入口を目指す。 「誠司、遅いで!」  そこにはもう大希が待っていた。 「おまえが早すぎるんやって!」  花壇には赤いバーベナが夕刻の風に揺れていた。
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