眠りの手

1

「ヒマだなぁ」
　青木透(あおきとおる)はスマホを触りながらつぶやいた。体をゴロゴロ動かし、明らかに退屈そうにあくびもしていた。
　ここ何日もずっとこの調子だ。
　スマホの検索エンジンに適当な言葉を入れては面白そうなページへ飛び、あきたらまた、新たな言葉を検索してページに飛ぶ。最近の青木のヒマつぶし。
　このヒマつぶしもあきてきたと思った時に、「ヒマつぶし」と検索してみた。
趣味を探す、旅行に出かけるなど、いたって普通のページが出てくる中、一つだけ異質なタイトルが目に入ってきた。

　"崖に立とう"

　青木は目を丸くした。何を意味しているのか想像もつかなかった。あまりにも分からなすぎて見るのをやめようと思った時、すでにスマホの画面は"崖に立とう"を表示していた。青木の親指がそのタイトルに触っていたようだ。
　"崖に立とう"は黒の背景に白字で少し暗い感じがした。それ以外押せそうなものがない。青木は"崖に立とう"という文字を押した。
　ページが開くと掲示板になっていた。
どうやら何か募集しているようだ。