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「あぁ、なんて素晴らしい所なんだ!」
勝は二人を背に崖ギリギリまで歩いた。完全に二人はいらない存在になった。が、勝は振り返り、二人に言った。
「青木くん、笹山くん、私に勇気の出る言葉
をくれんかね?もっと限界まで行きたいん
だ!」
二人は戸惑った。すでに勝の足はもう一歩も出せないくらい端にある。これ以上はかける言葉はない。
二人が黙っていると勝はさらに足をまえに出した。見守る二人の顔は青白くなった。
「勝さん、もう動かないでくれ!本当に落ち
るぞ!」
「僕からもお願いです!危ないからやめてく
ださい!」
二人は勝に近付きながら大声で叫んだ。だが、この暗い崖にかすかに響くだけ。
その時、勝が青木を手招きした。ゆっくりと近付いていく。
勝は青木の手をとり、ニヤリと笑いながら背を向けた。
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