3人が本棚に入れています
本棚に追加
手を握り背を向ける勝。顔だけ横にして青木の目をニヤニヤしながらみている。
青木は気持ち悪くなり手を振り払った。そして勝の背中を軽く押した。
勝はニヤニヤしたまま崖の下へと落ちていった。青木の手は少しだけ震えている。
「青木くん、なにやっているんですか!」
笹山が勝の行方を見にきた。崖の下をのぞいている。なんとなく、コイツも押してしまったほうがいいのではないかと思った。
「あっ…」
勝を追いかけるように笹山も崖の下へと消えていった。
青木は不思議と冷静だった。
勝は気持ちが悪かったから押した。
笹山は生かしておくのは不利になるから押した。
人は高い所から落ちる時、叫び声は出ないものなのだと感心した。二人を落としたことは悪かった。けど、どうせこの崖なら死体はあがってこないだろう。
青木はもうここにいても意味はない、そう思い崖をあとにした。
最初のコメントを投稿しよう!