うや様はそれでも。

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うや様はそれでも。

 もし大切なものは一つしか得られないとしたら、私は何を選ぶのだろうか。  いや選ぶものは決まっている。  これが私の役目なのだ。  人は大切なもの全部選ぶことはできない。  ならば、神様はどうなのだろうか? 「様、どうか一口でも、せめてお水だけでも召し上がって下さい」 「……」  ここ数日のやりとり。そっぽを向いて子供のように布団に籠城している方が、まさか神様だとは私以外知ることはない。  ため息をぐっとこらえる。  どうしたらこの神様——うや様——は諦めてくれるのだろうか。
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