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破滅に落ち行く
▪過去編より隼人×白夜。
▪鬱らぶ。
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破滅を見よう、と。人を殺せば殺す程、底知れぬ感情が間欠泉の如く湧き溢れた。
“他人の干渉や横槍で歯車がずれる位なら、二人だけの世界がいい。”
そう泣いて喚いた彼女を見た時、男は初めて殺人に感情を持った。純粋で、決して穢れのない感情。
倫理は許さなくても、彼女は許す。寧ろ全てを包んで、命を咲かすように感情を与えてくれる。
男にとって彼女は、完璧な全てだった。
ーー
「白夜、」
「何?」
「何処か行きてぇ所は?」
虚ろな青の視線が、紅眼を緩やかに捉えた。
暗い室内。蒼月の薄明るい光が、ベッドで身を転がす彼女を包んでいた。それはまるで、彼女の儚さを如実に体現しているよう。
穏やか。なのに、何処か重みがある空気。
彼女に芽生えた自身に対する負の感情を、どうにか切り取り、踏み躙りたくてーー触れた頬。その上に重ねられた微笑。
「隼人以外、何も見えない……、感じない場所」
「あ?」
「ふたりぼっちになれる場所」
優しく包み込まれた掌。愛しさが噴き上げた。
それに感応し、心奥底から突き上げていく殺意。そして今日もまた、泡沫の如く数多の命が消えて行くーー
……END
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