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天邪鬼
▪四章より弥一×白夜。
▪日常。
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「おい、小娘」
「…………」
「聞けや」
ただ、いつもの調子でからかっただけなのに。どうやら、そのからかい方が彼女の逆鱗に触れたらしい。
子供のような膨れっ面を前に、彼は白旗を掲げる寸前だった。
「何故そんなにキレるんだかな。つくづく面倒臭い小娘よ」
「めんつゆを養命酒に摩り替えられてたら、そりゃ誰だって怒りますよね? 素麺楽しみにしてたのに」
「下らん。鈍いお前が悪い」
傲ったように笑う彼を、彼女は睨むばかり。
だが、彼の本心は違うのだと。二人の喧嘩を傍観していた善吉だけは理解していた。
「白?」
「はい?」
「弥一はね、白に健康でいて欲しいからそうしたんだよ。昨日君が咳込んでたのをらしくなく心配していたしね」
親友の助け船に、彼は乗船するかの如くドヤ顔を浮かべる。
だが。
「弥一さん」
「何だ」
「貴方は阿呆以外の何者でもないと思いますよ」
「満面の笑みで言うな。吊るすぞ」
そうして、二人は口喧嘩と言う名の仲直りをするのだ。
天邪鬼な師とその弟子。今日も平和だな、と、善吉は洗濯物を畳むのだった。翌日、弥一の夕食が彼の嫌いな豆料理だったのは言う迄もない。
END
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善吉さん、しっかり白夜の仕返ししてあげるとこは偉い←
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