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避けて通れぬ罠
▪過去作。四章より弥一×白夜。
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求めるばかりじゃつまらない。
だがこの小娘は“心の破壊”以外に求めてくるものなど何もなくーー要するに刺激が足りない。故に、些細な欲求不満が溜まる。
それを解消するべく、試すような言葉を投げ掛けた。
「どうして欲しい?」
避けて通れぬ罠。この罠にはまらない女などいない。
少し悩んだ後、首を傾げ、
ただでさえ丸い碧眼を更に丸くして、俺を見上げた小娘。
「どうして欲しいんでしょう?」
困ったような顔をして笑うのみの返事。
どうやら、罠は空振りだったようでーー呆れた。
質問に質問で返すな、と。
やはり、この小娘は肝心な場面で男心を全く読まない。
少し位は人を愉しませろや、阿呆が。
「何を求めれば……、満足?」
「あ?」
淫靡を纏い始めた碧眼。するすると頬を辿る指先。
「貴方の求められたいものを私に教えて下さいな」
妖艷な微笑み。
ゆっくりとした声調で囁かれた一言に、穿たれた心。
「俺の全てよ」
避けて通れぬ罠にはめられてんのは案外、俺の方か……嗚呼、マズい。この小娘、やはり俺をどっぷりとハマらせてくれるようで。
……END
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