18人が本棚に入れています
本棚に追加
弟子が癒し
▪過去作。四章より弥一×白夜。
━━━━━━━━━━━━━━━
「つまらん小娘が」
その言葉で小娘を一蹴した。
言った理由は覚えてないがいつものように盾突かれ、適当な返しでその一言を吐いた。
小娘はその後、膨れ面をぶら下げるのみで何も言わず時が過ぎーー翌日。居間で小娘が珍しく読書に耽っていた。
見ているものが何なのか、ふと目をやる。
――“落語入門【其の壱】”
「……お前は咄家にでもなるつもりか?」
「弥一さんが『つまらん小娘』って言ったから……」
不貞腐れた顔。つくづく阿呆な小娘よ。
だが、それが俺の昨今の癒しになりつつあるのは言うまでも無い。
「……で? 何を覚えたよ?」
「まんじゅうこわいをちょっとだけ覚えましたよ」
「話してみろ」
「今はお茶が怖いです」
「いきなりサゲるな阿呆」
仕方ねぇ。つまらない発言は撤回してやるよ、阿呆小娘。
……END
最初のコメントを投稿しよう!