本編

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 日が昇り、町に朝靄がかかる。俺はバスを降りて、すぐに近くの港に向かった。このちっぽけな町を出るには、船に乗ることは必須と言ってもいい。行き先は決まっていないがとにかく遠くに行こう。北に行ってみようか。それとも東へ向かおうかなどと考える。  船の切符を買い、船に乗る。朝一番、早朝に出る船だからなのか、乗客は俺が確認できる限りでは、10人にも満たなそうだ。  俺は甲板に出て周囲を見渡す。朝靄が晴れそうだ。眩しい、日差しが出ている証拠だ。今日は晴天だろう。  少し身を乗り出して、海を見下ろす。青く澄んだ世界が、そこにあった。魚や岩礁みたいなものが見える。名前はわからないが。  これ以上身を乗り出すのは危ないと思い、俺は船内に戻った。
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