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どのくらいの時が経ったのか。俺は腕時計で時間を確認する。
午前6時50分。そろそろ港に着く頃だ。
俺はリュックサックを背負いなおし、降りる準備をする。俺の知らない場所、俺の知っているヤツがいない場所、俺の新天地には、一体何があるんだろうか。
船内から出ると、じわじわとした暑さが襲いかかった。そりゃそうだ。なにせ今は7月初旬だ。まだ梅雨も明けたとは言い難い、じめじめした空気。蒸し暑さが息苦しい。朝靄は、まるで最初から無かったかのようにすっかり晴れていた。雲一つない晴天は、嫌でも世界の広さを教えてくれる。海が日の光に照らされて、キラキラと輝いていて眩しい。
目を凝らすと、陸が見えた。
俺の新しい人生が始まるのだ。
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