レインコートの女

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「入れてくれませんか…?」  と聞かれて、5分経っただろうか…?  未だに、後ろの赤い女は立ち去るそぶりを見せない。  通りかかった人に助けを求めようにも、誰も通らないのだ。  人っ子一人見つからない。  できれば答えたくない。  だが、答えなかったときに何が起こるか分からないのだ。  ”何か”が起こったであろうことは確かなのに。  そして頭をよぎる親友の言葉。 『断れば、傘でめった刺しにされちまうらしい』  「……あ、あぁ。いいよ。入りたければ勝手に入れよ!!」  震える声で叫び、傘を後ろに押し出した。  だが、なんの感触もない。
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