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とても小さな建物だ。屋根の周辺や柱頭に、細かな彫り物がされている。見たことのない模様だが、蔓植物を意匠化したものだろう。白い──あれは、紙だろうか──が木を格子に組んだものに貼られていて、壁の役割を果たしているように見えた。しかしながらこれが人が住む建物なのかと首を傾げたくなるほど、無防備なものだ。蹴破ることが、いとも簡単に出来そうな。
ほかに目につくものは、その建物から一段下がったところにある、土を盛り上げて平らに均された場所くらいだ。用途はわからないが、この建築物とこの場所は、一対のものだという印象がある。ぐるりとまわりを木々が囲うのに、建物と土の場所だけが明るい所為かもしれない。
周辺を歩いてみるかと、足を踏み出したところで。
ぐらりと世界が暗転し、意識が途絶えた。
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