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「……──すか。大丈夫ですか」
どのくらい時が経ったのかわからないが、空はまだ青かった。
初めて見る黒い瞳が、心配そうに自分を見つめている。
クレイセスははっとして、上体を起こした。急な動きについて来ない頭がくらっとして揺れたところを、恐る恐るといった体で、小さな手が支えてくれる。
「まだ急に動かないほうがいいのかも。救急車を呼びましょうか」
「いえ……それには及びません。ありがとうございます」
礼を言うと、目の前の────幼い少女は、安堵したようだった。ゆっくりと立ち上がり、短い丈の衣装の裾を払う。
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