序 探索

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 自分はユリゼラのように、大地の意思を受け取る力は持たない。力を持つ者は、同じように内包する者を認識出来るらしいが、クレイセスには判別出来なかった。 「助けてくださって、ありがとうございます。ここには、よく来られるのですか」 「あ、はい」  返事をしたあと、彼女は不意に口許(くちもと)を押さえ。 「あの……わたしに、何か……されました?」  何かを窺うように、問いを発した。 「……? 何か、とは?」  しかしクレイセスには質問の意味が理解出来ず、そのまま問い返す。 「クレイセスさんの話してる言葉は日本語でも英語でもない……のに、言ってらっしゃることが、わかるから」  クレイセスは、当たり前にものを話しているだけだ。少女の疑問に対する答えは持っていない。ニホンゴやらエーゴやらはわからないが、この少女にとってはクレイセスと会話出来ることが不思議らしい。少女の目が、クレイセスを探るようなものになっている。
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