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悪役令嬢に生まれ変わってる!?(1)
外が明るい....
眩しい....?
あれ?私....まだ生きてる??
死ぬほどの強い衝撃を受けたにも関わらず、まだ生きている事に驚いた私は、ガバッと体を起こした。体には全く異常はない...それどころか体には傷一つなかった。
「....ってここはどこ??
この高級そうな部屋は一体誰の家なの?
私は...たしかに死んだと思ったのに..。
なんで無傷なの??」
私は事故に遭った。それは間違いないはず...。
強い衝撃にクラクションの音。ハッキリと覚えている。
あれは間違いなく、無傷で済む事故ではないはずだ...。
ふとまた違和感を感じ、自分の姿を見て驚愕した。
「えっ....??えっ...?何..これ....っ!?」
驚くのも当たり前だった。
胸やヒップが少し小さくなっている。
小さくなった...と言うよりは、成長期の子供のような感じというのがわかりやすいだろうか?
学生時代を彷彿とさせるような懐かしさがある。
たしかに私は小柄だったけどもう少し身長なかった?
そして何よりもおかしいのは、この髪だ。
光に透けるような...輝く絹のような、銀色の髪をしていたから。
私はたしかに黒髪だった。
日本人特有の黒髪だったはずだ...。
驚いた私は、すぐに鏡を探して広い部屋の中を歩き回った。
そして姿見を見つけ、鏡に映る自分の姿を見て衝撃を受けた....。
「なんじゃこりゃぁぁぁっ!?」
驚くのも無理はなかった。
鏡に映る自分の姿は、銀色の髪に、青みがかった紫の瞳。瞳の中には、色とりどりの宝石を散りばめたような...とても神秘的な瞳をしていた。
そして、とてつもなく顔立ちの整った天使のような美少女の姿がそこにあったから。
えっ....!?
この美少女誰っ??
鏡に手を振ってみると、鏡の中の少女も手を振った。
えっ!?これが私の姿なの?
自分の姿に驚いた私は、この世のものとは思えない奇声をあげて絶叫した。
すると、私の奇声?を聞き付けた、この屋敷の人間が駆けつけてきた。
「マーガレットお嬢様!!お目覚めになられたのですね?なんという奇跡でしょう..。
このままマーガレットお嬢様がお目覚めにならなかったらどうしようかと思いました。
お嬢様の目が覚めるまで、ばあやは心配で心配で、心臓が凍る思いでございました。
お目覚めになられて本当に..本当に良かったです..。」
見知らぬ、身なりの良いお婆さんに突然泣きつかれてしまった。
このお婆さん....誰っ??
全く状況の掴めない私は、お婆さんに恐る恐る話しかけた。
「あ....あの....貴女は誰ですか?そしてすみませんが、ここはどこなのか教えていただけませんか?」
私が恐る恐る話しかけると、目の前のお婆さんがショックを受けたように固まってしまった。
どうしちゃったのこのお婆さん...大丈夫かしら??
しばらくお婆さんの様子を見ていると、お婆さんは意識が戻ってきたようだ。
お婆さんは涙を流しながら、私の腕を掴んで泣き崩れてしまった。
「私...何か貴女を傷つけるようなことを言ってしまいましたか?気付いたら、知らないベッドの上にいたので混乱してしまって。何か貴女の気に触るようなことを言ってしまったのならごめんなさい。」
私はとにかくおばあちゃんに弱かった。
前世でおばあちゃん子だったので、目の前のお婆さんが自分のおばあちゃんの姿と被りとても心が痛かった。
困ったように見つめていると、お婆さんが泣きながら私を優しく抱きしめた。
「お嬢様...記憶が失くなってしまわれたのですか?お嬢様のお父様、お母様、それにばあやの事もお忘れに...?なんということでしょう...。すべてお忘れになられてしまったなんて...。」
おばあさんの目に絶望の色が灯る。
「例え記憶を失くされようとも、ばあやは誰よりもマーガレットお嬢様の味方でございます。
不安でしょうがお側におりますので。
困った事がございましたら、いつでもこのばあやに何なりと言ってくださいませ。
お嬢様のお父様、お母様も大変心配しておられますので、今お嬢様のご両親をお連れ致します。こちらのソファーにお掛けになり少しお待ち下さいね。
ご一緒に、何か温かいお飲み物もお持ちしましょう。」
お婆さんが慌てて部屋から出ていくと。
離れてしまった人肌に、少し寂しくなった。
おばあちゃんに、抱きしめてもらったみたいにすごく暖かかった。人肌に抱きしめられたのは何年ぶりだろう。
どうやら私は...マーガレットという女の子になってしまったようだ。
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