前世の私。

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前世の私。

私は某有名キャバクラで働いているキャバ嬢だった。 キャバクラで働いてはいるが、ナンバー争いには全く興味などなく、ガツガツしてない所がお客様にウケていたようで、そこそこ売れっ子のキャバ嬢だった。 私は昔からゲームや漫画、アニメなどが大好きで乙女ゲーム...所謂乙女ゲーがとくに大好きだった。 推しにお金を注ぎ込む生粋のオタクだった。 キャバクラで働き始めたのも推しのグッズを買ったり課金の為である。 キャバクラを選んだのも、日中イベント参加できるからという単純な理由と、生の綺麗なキャバ嬢見たい!という理由だけで選んだ。 キャバクラって漫画でもよくあるし、男と女の夢物語とか夢があるじゃない? 少女マンガからTL 、愛憎渦巻く大人向けの話も大好きだったので、日々目の前で繰り広げられる刺激的な毎日を楽しんでいた。 綺麗なデザインのドレスを着たり、見たり... これもまた私の趣味だった。 なので、キャバ嬢になったことに全く後悔はない。 むしろ私以上にこの職業を楽しんでいる人間はいるだろうか?と思うほど、私はキャバ嬢ライフを楽しんでいた。 それにキャバ嬢という仕事は私にとても向いていたと思う。 垂れ目で童顔でそこそこ整った顔立ち。 口元にある黒子がチャームポイントで、小柄だが長くて綺麗な筋肉の付いた手足...華奢だが豊満な胸に、触り心地が良さそうな丸いヒップのエロボディー。 とても男性受けの良さそうな外見をしていたし、人と話すことが好きな性格だったので人見知りもせず、小さな頃から実家のお店の手伝いをしていた為人慣れしていた。 それに末っ子だった私は甘え上手な性格をしていた。 人間観察が趣味だったので、人の目を見れば自分にどんな感情を持ってるかを手に取るようにわかる為、相手がどんな対応を求めているかを察知するのが上手かった。 まさにキャバ嬢は天職だった。 その日は特に忙しかった。 予定にないお客様からの指名がかぶり、飲み過ぎないように注意していたのだけれど...運悪く今日に限って飲ませるのが大好きなお客様ばかりに当たってしまった。 「ヤバイこれラストまで持たない...キツイ...」 ヘルプで付いてくれた女の子にお酒を薄く作ってもらってたけど、色々な席で飲まされてベロンベロンに酔っ払ってしまった。 それでもなんとか指名のお客様が帰るまで意識を保っていた自分を褒めたい。 これ以上はさすがに醜態を晒してしまいそうだったし、お客様も少なく指名のお客様もいなかったのであがらせてもらった。 いつもは送迎してもらって帰るのだが、その日は酔いをさませたかったので歩いて帰る事にした。 それに女癖が悪い送迎担当の黒服さんに、しつこく迫られていたので二人きりになるのを避けたかった。 「はぁ....やっぱり送迎してもらえば良かったかなぁ、めちゃくちゃ地面が揺れてる....。体がふわふわするし、クラクラする....。本当予定外のお客様が重なるとか最悪すぎるよ。」 酔いが回りすぎて私はフラフラだった。 暗い夜道をフラフラ一人歩いていると、思った以上に自分が酔っ払っていることを自覚する。 まわりに人がいなくて良かった...こんなみっともない姿見られたら恥ずかしすぎるもの...。 やっぱり送迎してもらえば良かったかもしれない...朦朧とする意識の中一人後悔した。 千鳥足で、真っ直ぐ歩いているのかもよくわからないが、なんとか大通りまで行けばタクシーがつかまるかもしれない...。 フラフラする足を動かし大通りを目指す。 なんとか大通りに出てタクシーをつかまえようと道路に出た瞬間...。 眩しい光と、強い衝撃に意識がなくなった。 どうやらトラックにはねられたらしい...。 薄れゆく意識の中... あっ?これ私死んだ? もうオタ活できないのか...残念だなとしか思えないほど、私は自分の人生に後悔も悔いもなかった。 わりと自由に生きて来たし、満足した人生を送ってきたから。 ....悔いがなかったはウソになるかな? 乙女ゲーや、漫画の続きやアニメの続き見たかったなぁ....。 ....死んだらあのオタク部屋を親に見られるの嫌だなぁ....。 ....薄い本隠してたの親に見られるのはかなり嫌かも。親に性癖バレるとかどんな罰だ...。 いろんな意味で..お父さん、お母さん親不公な娘でごめんなさい...。 やがて目の前が真っ暗になった。
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