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画面の中の女優の姿にさっきの光景が重なった。
テレビを消した。
脳裏の絵は消えなかった。
何を求めているのだろうか。
自分の居場所ではないと思った公園へ、また行くような気がした。
行ってどうしたいのだろうか。好きな男を探すのか? 自分は男が好きなのだろうか?
いや、高1時代の親友以外、男に惹かれたことはない。
恋愛経験はないが、これまでに気になったのは女の子ばかりだ。風俗のお姉さんだったが筆おろしも済ませた。それっきりだが…。
それっきりで平気だった。
一人暮らしが寂しくないわけではなかったが、恋人がいないからと風俗を渡り歩いたり、不特定多数の中から処理するための相手を探したりしなければならないほどに性欲を持て余していない。
欲求不満な時はこのAVで十分だった。
忘れよう。忘れよう。
あの公園の男も、親友も、もう忘れよう。
(あいつのことなんか、ずっと忘れてたじゃないか。もう顔もはっきり思い出せないじゃないか)
あんなに人気だったのに、一年で消えた彼のことは同窓会で話題にもならなかった。それだけのこと。
そう思うのに夢へいざなわれながら見えたのは、男の腰にしがみついて、突き出した腰を別の男に預けて揺れる男の姿で、振り向いた彼は親友の顔をしていた。
はっきりと彼の顔を思い出した。あの綺麗な顔を。
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