幽霊とともに

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 それから数週間後。  幽霊とその両親に会わせる日が続く中、未だにこの幽霊を自由に外すことが出来ないことに俺は困っていた。  やはり、二時間も拘束されるのは辛かったからだ。一時間、いや、三十分まで短縮出来たらと思っている自分がいた。仕事帰りなんて体力的に辛いからな。リラックス出来る時間を少しでも確保しておきたかったんだ。  神社か寺にでも行って、お祓いでもしてもらおうかと思ったが、夜の七時にやっているところなんてなかった。そもそもこの幽霊は特殊な幽霊だから祓えるかどうか怪しかった。  『成仏が済んでいる良い幽霊』だってこの幽霊に聞かされたしな。『悪い物』だと判定される可能性が低いだろう。  夜七時。俺に取り憑いた幽霊は、八神さんの家に行くため、玄関に向かう。  その時。視界に黒い物体が映った。それは床をカサカサと素早く移動する。  それを見た幽霊は硬直する。 「ご、ご、ご、ご、ご……」  黒い物体に指を差しながら幽霊はブルブルと体を震わせる。  “おいどうした? 大丈夫か?”  心配になって俺が声を掛けると、 「ゴキブリぃやあああああああああ!!!」  幽霊は悲鳴を上げ、物凄い速さで黒い物体、ゴキブリから距離を離していく。  “おいおい! ゴキブリ倒してくれねぇと困……”  俺が幽霊に声を送っている最中、 「うおあああ!!」  突然、俺の体は自由を取り戻し、その拍子に俺は床に打ち付けられてしまった。 「無理無理無理! 僕、ゴキブリがすっっごく苦手なんだ! 倒すなんて絶対無理だよ!!」  何が起きたのかわからないでいると、俺の目の前には、やたら動揺している体の透けた少年の姿があった。  喋っている内容からしてそいつが誠也なのだということがわかる。  頭に白い三角のやつをくっ付けて、上下真っ白い服に身を包んでいて、足が尻尾みたいになっていて、いかにも漫画とかに出てくる幽霊の格好をしていた。
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