2人が本棚に入れています
本棚に追加
幽霊の存在を信じるか? 俺は信じるぜ。なんせ俺は幽霊を目にしたし、しかも取り憑かれたからな。
今から話すのは、俺、池田 雄平と俺に取り憑いてきた幽霊のちょっと変わった物語だ。
***
社会人になって六年、ニ十八歳の俺は田舎にある五階建てのマンションの四階で一人暮らしをしている。
今は八月。まあまあ暑い時期だった。
「あっ、ヤベ! 洗濯物干すの忘れてた!」
午後八時。洗濯物の干し忘れに気付いた俺は、洗濯機から洗濯物を取り出し、カゴに入れてベランダに出る。
いつもは午後の六時半頃に干すのだが、今日に限ってこんな時間に干すことになってしまった。
だが、この時間に干したことが、後に不思議な物語を紡ぐことになるとは、この時の俺は知る由もなかった。
「風強ぇなオイ!」
ベランダに出れば、襲い来る激しい風。洗濯物が吹き飛ばされないように注意しながら俺は洗濯物を干していく。
その時だった。
“な、なんだ? か、体が動かねぇ……!”
突然、俺の体が動かすことが出来なくなった。それと、声も発することが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!