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まさか幽霊が実在するなんて……。いや、いるとは思ってたし。いや、いないとも思ってたし。ああ゛! どっちなんだよ!!
しかも憑依されるなんて思ってもみなかったぜ。人生何が起こるかわかったもんじゃねぇな。
“そそそれで、なななんで俺に、ととと取り憑いたんだ?”
ちょっとビビりながら幽霊に質問してみる。
「取り憑きたくて取り憑いたわけじゃないんだ。ちょっと今日は風が強くてね。風に吹き飛ばされちゃって兄ちゃんの体に当たって乗り移っちゃったんだよ」
風に吹き飛ばされる幽霊って何?
“そ、そうなんだ。お、面白いことを言うなぁ君は。あはは……。それで、なんで俺の体から出てくれないのかな?”
「ごめん。どうやって出ればいいのかわからないんだ」
“は?”
幽霊の衝撃的な言葉に、俺は意表を突かれた。
「今日は星が見えないや」
そう言って幽霊は夜の空を見上げる。空には雲が所々に存在していて、幽霊の言う通り星を視認することは出来なかった。
“いや、待て。話を逸らすな。俺の体を返して欲しいんだが”
「ひゅーひゅー」
俺が体を返すよう要求すると、幽霊は下手くそな口笛を吹いてごまかすのだった。
どうすんだよこれ……。
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