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「で?なんで空が曇ってたら車に轢かれなきゃいけないの。」
「違うもん、上見てただけだもん。…今日、晴れてくれないと困るの。」
落ち着いた頃を見計らって話しかけると、女の子はぶすっとした顔で答えた。
「曇ってたらなんかあんの?」
「…あのね、あたしのパパね、流れ星を探すお仕事してるの。それでね、今日学校で星を見る会しようって言われてたの。それで、あたしパパに来てっていったんだ。パパは星のこと詳しいから。でも……。」
女の子が一度空を見上げる。相変わらず空に蓋でもしてるのかと思うほどに曇天である。
「これじゃ、会できないって。パパのこと皆に自慢したかったのに……。」
「自慢?」
「うん。皆がね、悪口いうから。りゅーせーしょーは流れ星を探すだけの、暇暇なお仕事だって…。そんなことないもん、パパは毎日頑張ってるすごいパパなの!だからそれを皆に自慢したかったのに…なのにぃ…っ!」
「あぁあほれ泣くな!!絵面が酷い!」
慌てて女の子を宥める。
つまり、女の子は普段バカにされている父親を自慢しようと、今日の会を楽しみにしていた。しかし曇ってしまったから会が中止になりそうで、どうにか晴れないか上を見ていたと。
はぁ、とため息を吐いて顔をしかめる。どうしよう、関わるんじゃなかった。これの解決策とか空を晴らせることだけじゃん。でもあの小さな流れ星じゃそんなことはできない。
でも関わったからにはどうにかしないとこの子多分いつか事故る。どうしたもんか…。
うんうんと唸って考えていると、ふと女の子の被っている小学校用の帽子が目に入った。
……帽子……帽子か……。
「あっ。」
「え?」
ぴこん、と閃き、思わず笑みを浮かべる。流れ星の有効活用、閃いた。
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