忘れていたもの

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むかし…… フランスの小さな街に、二人の美人姉妹が住むことで有名なS家があった。 しかし、このS家には、もう一人、シソテレラという娘がいた。 その娘も美人だったが、日頃から雑用ばかりしていたので、とても美人には見えなかった。 三姉妹の内の、上の二人の娘は母の実子だった。 三番目の娘のシソテレラは、父の連れ子だったのだ。 実は、シソテレラの母が病死したため、父は今の義母と再婚した。 やがて、その父も他界してしまった。 それからの義母と姉たちは、シソテレラを下女同然に扱うようになり、ちゃんとした部屋も与えず、汚い納屋(なや)に住まわせていたのだった。 それでもシソテレラは我慢(がまん)して、良い妹、良い娘として使えていた。 それは、我慢していれば、いつか幸せになれると信じていたからだった。 ある日―― 街の高台にあるお城で、王子様の成人式パーティーが開催された。 娘たち全員が招待されたが、シソテレラは母から禁じられたため、納屋でションボリしていた。 それを哀れに思った魔法使いの協力で、義母が寝ている間に、シソテレラも美しいドレスを着て、ガラスの靴をはき、パーティーに参加することが出来た。 しかし、その夜、ハプニングが起きた。 夜中の0時…… 王子様は彼女を追い、 「頼む。待ってくれー!」 しかしシソテレラは、振り返えりもせず走りつづけ、城を後にした。 それから半時間ほど経った時、S家に戻ったシソテレラは、素足のままで泣きながら納屋に入ってきた。 そしてボロボロの衣服で、ボロボロの布団に入って寝てしまった。
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