パルコ

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パルコ

イカ・コンピューターこと「イカコン」の研究を始めて、半年が経った。 ある日、水槽の前でふたりきりの時に、パルコはつぶやいた。 「私、誰かに尾行されているかも」 ベンタが事実を突き止めようとしたが、相手は気配すら感じさせない。 「イカを捕まえるよりも、難しいや」 探偵かスパイか……、どうやら尾行はプロの仕業らしかった。 その頃すでに、彼女はイカコンへのアクセス手段を確立していた。 のぞみどおりの演算を実施させることに成功したのだ。 イカにはもともと、人間の幼児並みの知能があると言われている。 16匹のイカコンは大型コンピューターを何台か繋いだほどの性能があった。 もしかすると、スパコンを超える性能を持つかもしれない。 独自で超大型コンピューターを開発する技術力のない企業や、 安価で豊富にとれるイカという素材に魅力を感じた某国が、 パルコ博士の研究成果を狙っている、との噂もあった。 ベンタはオオホタルイカの水槽に餌を投げ入れて、語り掛ける。 「お前ら、あまり優秀すぎるのも困り物だぜ」 彼の悩みを知ってか、知らずか。 ツー・ツー・ツー ツー・ト・ツー ベンジがゆらゆら揺れる2本の触腕の先を明滅させた。
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