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秘密の約束
「これが、星のはじまり。そして、世界の成り立ちよ。」
彗は、宇宙にそう言うと何かを思い出しているように星空を眺めていました。そんな彗を見ながら、宇宙は感心したように話し始めました。
「へぇ〜、よくそんなこと知ってたね。僕、全然知らなかったよ。」
「今の人間は、もう知らないわよ。」
「ふうん。」
「知らなくても生きていけるのよ。だから、知らなくてもいいのよ。」
そう言いながらも彗は、悲しそうな顔をしていました。
「・・・・ねぇ、彗。それなら、何で僕に話したの?」
宇宙は、恐る恐るそう聞きました。
「・・・・・約束したから。」
「・・・約束?」
「ええ、約束。あなたの魂と。」
そう言って、彗は宇宙に顔を向けました。
「僕の魂?」
「魂って分からないわよね。」
「ううん、分かるよ。」
「そう。・・・彼女は、ずっと一人だったのかしら。」
「マザー・ゴッドのこと?」
彗の問いかけに不思議そうに答えました。
「ええ。」
「一人とは、限らないんじゃない?だって、生物をつくれるんなら。きっと、一人じゃないよ。」
宇宙は、なぜかそう笑って答えました。
「そうね。」
彗は、宇宙につられるように笑いかけました。
「・・・宇宙、前世でした約束果たしたからね。」
それだけ言うと、彗はその場から走り去ってしまいました。
「・・・・前世の約束?」
宇宙が聞こうにも、そこには誰もいませんでした。あるのは、緑の草原と満天の星空だけでした。
宇宙が、思わず顔を上げていると。
「わぁ、すご〜い。まるで、星が降って来るみたいだ。・・・・なんだか、さっきより星がたくさんあるような気がする。彗のお話しを聞いたからかな?さあ、僕もそろそろ帰らないと。」
宇宙は、そう呟くと少しずつ歩きだしました。彼は、いつの間にか立ち止まって空を見上げていました。そして、そのまま空を見ながら小さく呟いていました。
「ねぇ、彗?今度は、いつ会える?」
もうそこにはいない少女に向かって・・・。
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