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星のはじまりと世界
「ねぇ、知ってる?星のはじまりを・・・。」
10代前半の少女が、草原の中で座りながら星空を眺めていました。その傍らには、同じ年頃の少年が少女の様子を伺いながら同じように星空を眺めていました。少年は、少女の発した突然の言葉を不思議に思いました。
「彗、星のはじまりって何?宇宙が、できた時のこと?」
少年は、自分が思いついたことを少女にぶつけてみました。
「バカねぇ。宇宙、星のはじまりって言うのはね宇宙ができた時のことじゃないわ。」
「ふうん。じゃあ何?」
「フフッ。じゃあ、教えてあげる。星のはじまりを・・・。」
そう言うと、彗は、大地の方に少し体を向けて話し始めました。
昔々、世界は暗く何もありませんでした。
あるのは、大地だけで海も草もありません。そんな世界に住んでいたのは、一人の女性でした。
その女性は、神とも精霊ともつかない姿をしていました。その女性に名はありませんでした。しかし、後に人々は彼女をこう呼びました。
『イニティウム・マザー・ゴッド』(はじまりの母なる神)と。
マザー・ゴッドは、何もない世界に光りをつくりだし、照らそうとしました。最初は、小さな光りをつくり暗い空に放ちました。すると空には、淡い光りがあちこちで輝き、真っ暗な世界ではなくなったのです。
マザー・ゴッドが次に考えたのは、大きな光りをつくることでした。小さな光りだけではまだ暗いのではないかと感じたのです。マザー・ゴッドは、小さな光りから徐々に大きく育てていくことにしました。光りはどんどん膨らみ、熱くて持っていられなくなってしまいました。すると、マザー・ゴッドは、大きな光りを自分の高さぐらいに浮かせたのです。そして、空に放った小さな光りだけを集めて片隅によけたのです。彼女は、再び真っ暗になった空へ大きく膨らんだ光りを放ちました。すると、大きな光りは、すぐに世界をキラキラと照らしだしたのです。その光りは、大きく、そして強い光で輝いていたのです。
しかし、マザー・ゴッドは大きな光りだけでは足りないと感じ、草花を植えることにしました。草花の種をつくり植えようとすると、マザー・ゴッドの隣で小さな光りの塊が漂っていたのです。まるで、「まだかな?まだかな?」っと待っているようでした。彼女は、小さな光りをどうすればいいのか考えました。
すると、先ほどのことを思い出しました。それは、先ほどまであった真っ暗な空のことです。彼女は、すぐにもうひとつの空をつくりだしました。そう、先ほどの真っ暗な空のことです。
彼女は、真っ暗な空に小さな光りを放ちました。しかし、物足りなさを感じた彼女はもうひとつの光りをつくりました。今度は、大きくても強すぎない光りになるように・・・。
すると、マザー・ゴッドの思いが通じたのか、大きくても淡い光りを放つものが出来ました。
後に人々は、その光りの輝きを『月』と呼ぶようになりました。それからマザー・ゴッドは、昼と夜という時間をおつくりになられたのです。
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